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ようこそ!「わたしが観てきたメグロ」では、S−8レストア用に各地で資料用に撮影した写真、
参加イベントで巡り会ったメグロの写真を紹介します。
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◎ 今回は、2025年10月26日に行われた「(第29回)古き二輪を愛でる會」
より紹介します。 ◎ 毎年恒例の「京都・古き二輪を愛でる會」ですが、今回も会場はこちら、 ハピろー!の森 京都(府民の森ひよし)にて開催がされました。 ◎ 当日は雨天予報のとおり、 朝から緩急な雨脚で生憎な天候の中での開催と為りました。
しか〜し! 今回は何としてでも参加しなければなりません。何故ならば・・・ ◎ 今回は「〜メグロのオートバイ〜」がテーマ♪ 目黒製作所 創業100周年を記念して、 戦前から戦後、カワサキとの併合以降ブランド復活モデル、 更にオートレーサーモデルまで、メグロブランドのマシーンならすべてOK! 希少なモデルなら大歓迎! トランポ搬送でも是非〜・・・っと云うことで。 ◎ しかしながらこの天気。如何程のメグロ車がお集まりに為られるか、 正直なところ期待できなかったのですが、 台数こそ10台余りで在ったものの、テーマに相応しいモデルが揃いました♪ ◎ 先ずは前編として、テーマの主役と為る筈(?)だった500cc・Z型と、 250cc各モデルをご紹介いたしましょう〜 |
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(第九十五回)
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メグロ500・Z ('50年式) (1951年) 今回の"愛でる會"テーマは目黒製作所の創業百周年が迎えたことにちなみ、〜メグロのオートバイ〜 っと云うことで期待して居たのですが、生憎の天候と為りやや期待外れ〜〜〜 しか〜し! そこは"愛でる會"ならではの実力(笑)でしょうか、今回も魅せていただけました♪ 私の知る限りでは"愛でる會"で拝見する最古参! メグロ500・Z ('50年式) 先年に栃木・那須烏山にて開催の「第4回 メグロ・キャノンボール 2024」でも展示の在った Z型戦後モデルですが、その形態仕様は戦前モデルとほぼ同型と云うだけ在って当に今回のテーマに適った 一台! 今回の展示に合わせて整備が為された様子で部分未了とのことでしたが、外観は十分な仕上がり。 只々残念ながら此の天候にて積載トランポから降ろすことができず、ご覧とおり観るだけに・・・ Z型戦後モデルは (第八十七回)「第4回 メグロ・キャノンボール 2024」・参加メグロ車より、〜其の壱〜 にて 詳細記述を参照のほど〜 また積載トランポには既紹介の"愛でる會"会長様の希少車、 メグロ300・J3ジュニアも! 此方も今回に合わせて更なる再現が為された由でしたが、此方も降ろすことができず・・・残念! | ||||
メグロ250・ジュニアS5 (1959年) 悪天を圧して露天に並んだのは、此方も"愛でる會"メンバーからのS5。 S5と云えば僅か半年間の生産期間を経て次モデルの S7へと引き継がれた為に 稀少なモデルと云われますが、何故か近年に新たな現存個体の発見が相次いで居り、 あまり珍しいオートバイでは無く為って居るような印象を受けますが、 其れでも実生産数で視れば5000台余りと、S系ジュニアモデルの中では最小数。 希少モデルで在ることには違いありません。 ところでS5の不思議なところとして、 S3の後継モデルかつOHC機関の250cc: Fの不振をカバーするべく 急遽登場したとされるのですが、その割にはエンジン仕様や構成がS3より大きく変化更新されて居り、 恰もS5の生産が前以て計画されて在ったかのような印象が在り、予てより疑問が在りました。 で、今回も荒天を圧して参加来場された"姫路の松居"さんと、其の辺りの意見を交換させて頂いたのですが。 恐らくそういう事情で在ったのでは、っと云う推測を挙げますと・・・ ・メグロとしてはOHVのモデルからOHCモデルに移行させる意図は在った。 ・しかしながら、ユーザーやディーラーからはS3での販売要望が多数に在った。 ・なので、S3の後継と為るOHVモデルの開発を平行して進めた。 ・しか〜し! 余りにもOHCモデルのF型不振が顕著と為り経営上の問題と為りかねなくなった! ・そこで、開発中途では在ったOHVモデルの生産計画を前倒しして纏められたのがS5ではなかったか!? その根拠として松居さんの意見は、もう少しS5の生産が後に為って在れば、 S7の仕様で出来て居たのはないか、っと云うこと。 確かにS5の生産が半年ほどで終了して早々にS7に切り替わって在り、 当初の新OHVモデル計画通りに完成させたのがS7で在ったと云うことではないでしょうか!? もし、計画通りに進んで在れば、S5が本来のS7仕様で登場して在ったかも〜〜〜
此方の個体、今まで拝見したS5と比べ観て状態が良く原型を保って在ることでしょうか。 上述のとおり、フロント廻りからエンジン仕様にかけてはほぼS7に類似。 シートからリア廻りおよびメインフレームはS3以前の形態を為して居り、 S3からS7への過渡的モデルで在る様子が視られます。 S3的な箇所としては、筒型マフラー、プランジャー式のリア懸架、鞍型シートの残置。 S7へと継続適用と為った箇所は、ウインカーの適用、F型形態のフェルタンク、エンジン仕様、フロント廻り。 ちなみにS5の生産自体は1959年ですが、 メグロの年式切り替え月時が9月末から11月に掛けてされる慣例が在った様子で、 S5の生産が'59年の年式切り替え以降と為ったことで、S5の車台番号は全車「S5−60−****」です。
K3型:単気筒OHV4サイクルエンジン 上述の通り、前モデル・S3の生産終息とOHC仕様モデル・F型の販売不振に拠り急遽投入されたS5。 エンジンは恐らくOHC仕様モデル生産と平行して進めた次期OHVモデルの開発に拠る途上仕様。 外観的には既に完成形態に在ったと思われ、ほぼ次期モデルのS7へと引き継がれるもの。 S3迄のY字型タイミングカバーにMWのトレードマークが付く形態から、ハート型タイミングカバーに "メグロ"のロゴマークが付くのはS5から。 次モデルのS7にはK5型エンジンとして搭載されますが、このK3型をマイナーチェンジしたものと思われる。 点火系はS3より継続してマグネトー点火、電装も6vにてダイナモからカットアウトリレーにて充電。 次モデルS7の初期モデルにはまんま継続適用されて後、 セル始動装備によりバッテリー点火に12v電装化へと変化。 変速機はS3のQM型から改良された新設計のQM2型。 此れもS7以降の変速機QM3型へとマイナーチェンジされるもほぼ違いは無い。
S3から変化したプライマリケースサイドはS7初期型までがほぼ同じ。 S3では鈑金プレス品で在ったプライマリケースカバーが、アルミキャストに拠る密閉構成に。 但しクラッチは仕様上では未だ乾式まんまでS7に為りやや丸みを帯びた外観にマイナーチェンジ。 内部のプライマリ駆動からクラッチ機構まで仕様構成もまんま。 シリンダブロックからヘッドに掛けての構成もS7初期型まで引き継がれ、デコンプ機構は無し。 ボアxストローク:65x75mm、排気量248cc 最大出力:11.5HP/5,000rpm 最高速度:100km/h
キャブレター キャブレターはS3から継続仕様の純正、ミクニアマルのフロート別体式:#275−012 スロットルの中心軸とフロートの位置が異なる為に肝心な油面が変化し易く、アイドリング調整に難儀する。 スロットルにエアシャッター(チョーク)が内包されて在り後述のハンドルレバーで操作。 後方側にエアクリーナーボックスが接続。
フロント廻り フロント廻りはS3の重厚さが薄らぎ、OHCモデルのF型をベースに、 意匠めいた段付きからシンプルに深絞りがされたフェンダー。 標準装備で在ったネームプレート(風切り板)も省略されてオプションに。 基本仕様はS3に同じく、緩衝はテレスコピック式バネ油圧併用で構成部品も同様。 ホイールサイズは18in、40本スポークに165mm径のドラムブレーキを持つ全巾ハブ。 点灯式の方向指示器(ウインカー)はF型からの標準装備に ヘッドライトステーに張り付き形態で、ソケット兼用のベースにレンズが被さる。 S5で専用のレンズ意匠としたが、後継のS7でも継続して採用。 その後積載運搬に特化したモデル、 AT"オートラック"にも適用されるも、 仕様変更と為って CAより流用のウインカーと為り、 S系ジュニアモデルの最終: S−8まで。 なので、S5〜S7とS−8では互換無し。
ライトケース廻り ライトケースはS3同様の砲弾型に鍔付きレンズリム。 レンズは縦に中折線の入った所謂"鉄火面"タイプで、上方にM・Wのトレードマークが在るHIRAO製
ライトケース上面にメインキースイッチと速度計が並ぶS3と同じ構成。 カバーレンズが曇って見え辛いが、速度計はF型からの意匠形態。 アンメータとシフトポジションインジケータを内蔵する。 ハンドルダンパーのノブトップには簡素化されて、樹脂キャストに直接"M・W"のトレードマーク。 以後S−8まで継承。
ハンドル廻り ハンドルはメグロ車お馴染みのセミアップで幅の在る形態。 その為に、上半身を起して軽くハンドルに手を添える"殿様乗り"と称されたライディングスタイルに。 グリップ廻りの操作系はS3後期型より自動進角と為って簡素化。
それでもチョークレバーや新たに装備された方向指示スイッチで結構賑やか〜 左手に電装系(ランプH/L、ウインカー、ホーン)のコンビネーションとクラッチレバー。 新設と思しき赤ボタンのスイッチは何でしょうね?
一方の右手はチョークレバーとフロントブレーキレバー、アクセルスロットル。
フェルタンク スマートなS3のティアドロップ型から一転して、F型譲りの通称"鉄カブト"型のフェルタンク。 意匠は従来の仕様に則りメッキベースに黒塗りと白ラインの意匠。 但しタンク形状に沿ってかジュニアシリーズの雲形ではなく650cc:セニアで用いた意匠を採用。 当時のまんま、七宝焼きのタンクバッヂも相応なので未再生なのでしょうか!? メッキと意匠の保存状態が良好♪ ところで、会場にはもう一台のS5が! 実は"姫路の松居"さんが整備途上のS7で参加を試みたものの成らず、 代えて以前に紹介のS5を軽トラックにトランポしての参加でしたが・・・ 此方も残念ながら此の天候にて積載トランポから降ろすことができず〜〜〜 代えて 以前の紹介でご覧くださいませ! | ||||
メグロ250・ジュニアS7 (1961年) S5から万を期して登場したS7。 此方は悪天にも拘わらず早朝より遠路広島から参加された由。 先述の通り、恐らくは本来S5としてリリース予定で在ったのが急遽の中継ぎ登板として、 半ば状態のS5が出たことで、S7はS5の完成形として視れば腑に落ちる箇所が多いモデル。 この個体はオーナー方の祖父が永年愛乗されて在った由でワンオーナーでのほぼ未再生な一台。
S5からの主な変化は、リア懸架をスイングアームとしたことでメインフレームが新規に。 またシートや外装をF型に倣った構成に拠り、メインシートはボックス型として、 オイルタンクとサイドカバーを一新。 また当初のS7前期型はS5より継承仕様のマグネトー点火、6v電装で在ったが、 早々にセルモータ始動化とする改良が入り更新モデルの中後期型がバッテリー点火、12v電装として登場。 個体は此れに該当する車台番号・14000番台。
K5型:単気筒OHV4サイクルエンジン 拙S−8でもお馴染みなメグロ250cc用K5型機関。 上述の通り、S5にて搭載のK3型エンジンの改良完成形として視ることができる。 しか〜し、S7時代に数回の改良が為された様子で、初期モデルの殆どK3型と変わらぬ仕様から、 セル付き12v電装仕様と為った中期モデルから、本後期モデルへと潤滑系やタイミング系に相違が在り、 更にS−8時代にカワサキの手に依り改めて最終形態へと進化。 なので、部品互換には年式やロットで注意が必要〜 更に更に! "姫路の松居"さんに拠る実地検証に依り、 S7の生産期間中には世間を騒がせる事件にも発展した労使紛争"目黒争議"が勃発したことに拠って、 S7の生産状況が混乱し部品の供給遅滞や組立環境の変動(生産委託)が生じたことで、 年式やロットを跨いだ部品適用や組立構成が為された個体が視られることが判明。 なので、S7の整備やレストアの際には十分に部品や仕様の適合検証を行うことが肝要です!! 詳細は 刑事番"メグロの米屋"・2007年の過去ログ にて記述いたして居りますので参照のほど〜
プライマリチェーンサイドはS7で更に進化。 チェーンケースはS5から継承のアルミキャストながら意匠的に丸みを持たせた形態に。 S7前期型まではS5の仕様を継承した乾式クラッチから、後期型よりセルスターター装備と為り、 潤滑強化に拠りオイルバス仕様の湿式クラッチに。 後期型の外観上特徴と為る"取って付けた"と皮肉を云われたセルスターターがチェーンケース前端に突き刺さる。 またヘッドカバーには手動のデコンプ機構に替えてセルと連動作用する電磁デコンプなる特許装置を搭載。 尤もバッテリーの電気を過消費することも在り、セルは過剰装備と感じた愛乗家には外して蓋をする御仁も。 ボアxストロークは、メグロ250モデルが引き継ぐ65x75mm の248cc 最大出力は、後期型で13.5HP/5450rpm 最高速度は、後期型で105km/h 変速機は、メグロ特許の前進4段ロータリー:QM3型
キャブレター S7のキャブレターは前期型ではS5より継続仕様と為るミクニアマルの#275−012、 後期型途上より三国オリジナルのVM22−14が適用と為りますが、此方の個体は替えて交換様子。 "NIBBI"のロゴが在りますので、イタリア発祥のパーツメーカー"NIBBI"のブランドキャブレターでしょうか。 型式までは判りませんが、恐らく24口径の汎用タイプかと思われます。 このサイズですとメグロSGとも共用できますので、再生用キャブレターとしては有効なのでしょう。
セルモーター&ホーン プライマリチェーンケースの前端に目立つ存在の"取って付けた"と皮肉を云われたセルスターター。 エンジンの出力軸に設けたランニングクラッチを介してウォームギヤに依りエンジンをクランキング。 そのランニングクラッチの出来が宜しくない為に空回りしてしまうので残念な装備に。 ホーンはS5までの渦巻型のニッコーホーンですが、S7以降は小型の渦巻型と為りメグロの専用部品から外れて、 ニッコーホーン以外のメーカー品(ミツバなど)も採用装備。
ライトケース廻り シンプルな砲弾型ライトケース。 ケース自体は此れもS3以降変化が少ないながら、 S7当初の仕様ではレンズリムが当初ドイツ車風に丸縁に。 その後末期頃にはS3同様に鍔付の仕様と為るので、この個体は其れに当たるか。 後継モデルS−8はそのまんま継承〜 レンズは縦に中折線の入った所謂"鉄火面"タイプ。
S3以来の上面にメインキースイッチと速度計が配置されたシンプル形態。 速度計は前期型ではS5に同じ仕様(アンメータ付き)、 セル付き中後期型以降はS−8と同じくインジケータ内装の関東精器(現、カルソニックカンセイ)製。 手前のハンドルダンパーノブ上面には"MW"のトレードマークが付く。
ハンドル廻り S5より継承のセミアップで幅の在る形態。 軽くハンドルに手を添える"殿様乗り"と称されたライディングスタイルに。 S5からの変化(後期型)ではチョークレバーが無くなり、 右手フロントブレーキホルダーにセル始動ボタンスイッチが装備される。
リア廻り S5から大きく変化したリア廻り。 本来の生産計画ではS5で採用されたやもしれませんが、時流に沿ったスイングアーム懸架を採用。 ドライブチェーンケースは従来通りの適用ながら、S5までの上下分割タイプから筒状タイプに変化。 スプロケットの点検がケースエンドカバーを外すことでできるよう利便と為った一方、 ドライブチェーンの交換際にはケースへ通す必要が生じ作業性が後退。 ホイールサイズはフロントに同じ18in、全幅ハブのドラム式制動も共通。
フェンダーも鋼板プレス深絞り、フェンダーステーがS5のバータイプからサイドレールに。 ウインカーの装備もS5から継続、同じ仕様を装備。 エンジンバンパーとリアバンパーは正規オプションでしょうか。
エキゾーストマフラー 未再生ながら保存状態の良好なマフラー。 所謂"モナカマフラー"と称されるタイプで中に詰められたグラスウールの消音効果に依り穏やかな排気音と為る。 その一方で内部に湿気を生じ易く腐食を助長するために経年に因る劣化が激しく、 良好状態に保つのが難しいとされる為、此れは稀有でしょう。
テール&ライセンスベース テールランプは S2以降の適用と為るルーカスタイプ。 ライセンスベースも同様ながら、 ライセンスサイズが細く横長な旧式から現用ナンバープレートのサイズに変更と為り、 S7も現用サイズでの仕様で装備。 ライセンスの地域表示"広"(広島)一文字タイプなのがワンオーナーの目印か。
メインシート S5までの鞍型シートに変わりシングルのボックスシートを適用。 此れも時流に合わせての事と500cc・K型の白バイ用途での実績からの採用と思われる。 シートの取付は上方から差し入れて引っ掛け留める。 シートの形態には変化が在り、前期型ではシートをフェルタンク側へ差し込む仕様、 中後期型では上方から差し入れる仕様と在り、年式、ロットでの仕様確認が肝要。
荷台 メインシートがシングルボックスと為ったことでタンデムでの利用が想定されることから、 荷台をリヤシート兼用として前端にグリップハンドルが標準装備に。 その上に装着されるのは白バイの書類箱!? モノは本物様子ですが、元からの装備で在る筈も無く、オーナー方祖父様の遊び心でしょうか〜 因みにS7には警ら巡回用の白バイ設定仕様が在り、実際にこのような書類箱が付いた個体が在ったやも?
サイドカバー(エアフィルター) 左サイドのカバーはS7形態での仕様。 内部はエアフィルターと工具入れがセットされて在る。 カバーは上辺の樹脂製ノブを廻し外すことが出来る。
フェルタンク フェルタンク意匠はS7オリジナル。 形態は"鉄カブト"の異称を得るOHC機関モデルのF型からアレンジがされたS5の意匠を継承しつつ、 塗りは縦方向に上面のみ、側面全メッキに専用のラバーマットに拠る二ーパッド。 125cc:CAの樹脂製タンクバッヂを流用して、 ラインナップモデルとしてシリーズ化。 ただその形態からか、他のS系ジュニアシリーズに比べ人気が劣る要因かも・・・
タンクバッヂ プラスチック(CA)タイプのタンクバッヂで意匠はトレードマーク付き紋章の メグロウィング。 メグロ不振期にコストダウンと意匠の時流化を目的に誂えたタンクバッヂで、 意匠は七宝焼き仕様を踏襲したものの、質感の貧弱さは如何ともし難い。 成型された樹脂ベースの裏に、銀色付けと黒色バックコートがして在る。 | ||||
メグロ250・ジュニアS7 (1961年) S7はもう一台! 此方は上記の個体よりやや若番となる車台番号10700台の個体。 形態的には中期型で既にセル付きの12v電装の仕様。 手入れが入った様子は無く、未再生でしょうかね〜
先のS7個体より原型が残る様子でキャブレターも本来のミクニ・VM22−14を装備。 デコンプは未だ電磁デコンプではなくハンドルのレバー操作に拠る手動仕様。 ボックスシートはやはり上方より差し込むタイプ。 荷台は使用に応じてか異形のタイプに付け替えられて在る様子。
フロント廻り フェンダーは原型の通りネームプレート(風切り板)が無い仕様。
ライトケース廻り 砲弾型ライトケース。 先のS7個体同様、当初仕様のレンズリムが丸縁ではなく鍔付の仕様。 状況から元からの様子なので、中期型で既にこのタイプで在ったか? レンズは"鉄火面"タイプではなく曲面レンズでトレードマーク無し。 此れも元からの様子ながら"目黒争議"との関連も在り、所要外での使用が在ったかも!?
上面にメインキースイッチと速度計。 速度計はセル付き中後期型以降に適用のインジケータ内装の関東精器製。
ハンドル廻り 先のS7個体に同じくセミアップで幅の在るハンドル。 左手にコンビネーションスイッチ、右手フロントブレーキホルダーにセル始動ボタンスイッチ装備も同じ。 違いは左手クラッチレバーには手動デコンプの操作レバーが付く。
エキゾーストマフラー 此方も未再生な"モナカマフラー" 先のS7個体と比べ遣れては在るものの、まだ保存状態は良好♪
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メグロ250・S−8ジュニア (1963年) 続いては拙サイトのメインモデルに同じS−8。 此方の個体は上記、広島よりお越しのS5とご一緒にトランポされて来られた由。 未だ整備途上とのことで、ご覧の通りエキゾースト系が未装備。 その他はほぼ完成されてられる様子の美車♪ 更にこの個体、エンジンのタイミングカバーを視て頂ければお判りの通り、 留めのビスが少ない前期型! S−8の前期型は仕様装備をほぼS7踏襲しつつ、 僅か先に市販された AT"オートラック"と外装面で共通化することで、 メグロ愛好家の人気で在ったS3イメージにリメイクモデルとして誕生。
外装はほぼ原形維持にて再生されて在りますねェ〜 拙S−8には無い原型とおりの荷台も装備。 フェルタンクの意匠も再現されて在ります♪
K5型:単気筒OHV4サイクルエンジン S7から継続搭載されたK5型エンジン。 S−8は外装面でのモデルチェンジで在ったので、前期型は性能的にはS7に同じ。 ・総排気量:248cc ・ボアxストローク:65x75mm ・最大出力:(初期型)13.5HP/5450rpm ・最高速度:(初期型)105km/h 変速機は、S7に同じく前進4段ロータリー:QM3型
キャブレター&サイドカバー キャブレターはS7後期型で適用のミクニVM22−14を継続仕様。 此れにはチョークの作用を受け持つ、エアシャッターと云うパーツが付属。 キャブレターのインテーク側に、エアフィルターとの間で挟まれるように付く。 そのエアフィルターは後方のサイドカバー内部に装備されて在るのですが・・・
オーナー方が、エアフィルターに工夫との由でサイドカバーを開けて頂きました! 純正のエアフィルターユニットでは在るのですが、 本来の濾紙を折り重ねて組まれたフィルタを撤去して、 替えて連続気泡の通気スポンジを円筒にして装備。 これなら定期的に水洗いしてのメンテナンスができますね〜
フロント&リア廻り フロントはS7とほぼ同仕様ながら、 フォークのオイルシールサイズやアクスルシャフトの部品構成が異なる。 またフェンダー形状も良く視ると絞りが少し浅くなって在る。 リアもS7同様のスイングアーム懸架ながらS3ライクなフレームに変化したことで寸法が異なり、 ショックダンパーの取付位置と角度に変化が在る為、ドライブチェーンケースに違いが視られる。 またドライブチェーンの張りもS7の円盤カムから、 現行モデルで視られるアジャストボルトとナットに拠る方式に変化。 ホイールサイズはフロント・リア共に18inに40本スポークの全幅ハブ、ドラム式制動も共通。 | ||||
メグロ250・S−8ジュニア (1964年) S−8はもう一台、拙個体に同じカワサキの改良が入った'64年式(後期型)です。 上述の'63年式をベースにカワサキメグロで288ccにボアアップとしたモデル: J−8"アーガス"の登場に併せて、 S−8にフィードバック改良がされた仕様。 なのでJ−8とS−8後期型は、セル始動の有無と、ボア変更に拠る排気量の相違以外はほぼ同様。 一方でS−8前期型と後期型は、カワサキの手が入ったことで品質改善が図られた再設計仕様に拠り、 エンジンを主に各部で相違点が在り、後期型は性能も向上して在る。
拙S−8では観られない、原型の外装が維持されてます! 風切り板の無いフロントフェンダー、原型意匠のフェルタンク、特に残って在るリアの荷台が良い♪ ただマフラーがオリジナルのモナカタイプから、定番流用のキャブトンタイプに替えられて在るのは残念か〜 ライセンスプレートが外されて在るので登録解除の整備途上か?
K5型:単気筒OHV4サイクルエンジン ジュニアS7から続くエンジン形式ながら、度重ねた改良の末の最終型。 拙S−8同様、タイミングカバーの留めビスの数が9箇所在るのが特徴。 オイルリークなどの要因と為るカバー歪み対策とも視えるが、 カワサキに拠る品質改善での材厚薄化対策で在ったとも云われる。 変速機はQM3型でS7以降の共通仕様、進段4速の エンドレス(ロータリー)式。
先のとおり、J−8アーガスの登場に併せた改良に拠り、 最大出力は初期型の13.5HP/5450rpmから同/5400rpmに、 最高速度は初期型の105km/hから110km/hに性能向上。 総排気量:248ccのボアxストローク:65x75mmは変わらず。 プライマリチェーンカバーはS7同様ながら再設計仕様と為り 留ビスの位置が若干異なることから交換流用の際は要注意! 因みにJ−8はセルモーターが付かないことから、S7初期型(6v電装)からの流用と云われる。 キャブレターはミクニVM22−14を継続仕様、ホーンは小型渦巻タイプのミツバ製。 | ||||
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後編ではメグロの代表的モデル・Z7と希少350cc・YA"アーガス"、 更に奇跡的に現存したメグロ製外販エンジン搭載のモデル・エーブスターをご紹介いたしましょう〜 |
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