メグロオートバイの市販車に始めてセルモーターに拠る始動装置を搭載したモデルと為ったのが125cc:CAキャデット であるが、当時のバッテリーには信頼度に欠ける面もあり、特にセルモーターの起動に掛かる電力消費に応じ切れない ことが在った。 そこでバッテリーに掛かる負荷を低減させてエンジン始動が容易に行えるようデコンプの採用を試みたが、更に利便性を 追求したのがメグロが開発した電磁デコンプ装置で在った。 正式名称はマグネチックバルブリフターと称したようだが、電磁デコンプの通称でよく知られ170cc:DAレンジャーに搭載 されて以降250cc:S7(セル付12電装)、AT、S−8、SGT、SGにも採用。 従来、手動で行って居たデコンプ操作を、セルモーターの起動に合せて自動的に行えるよう連動リレーとレバー操作用の ソレノイドを組み合わせて電気回路で構成されたもの。 仕掛けとしては、セル起動のスイッチボタンを押すことでスターターリレーが作動、セルモーターにはバッテリーに直接 つながり大電流が流れ、同時にその回路途中に置いたリフターリレーが作動してエンジンヘッドにセットされたデコンプ レバーに組まれたソレノイド(電磁石の作用でレバーを引く)にも電気回路がつながり作動することで、セルモーターが 廻りだすと同時にデコンプレバーも引かれ燃焼室内の圧縮が抜けてセルモーターの起動が容易に為る。 エンジンが掛かりセルモーターの負荷が落ち着くと電流値も下がるので、リフターリレーの作動電流値(65A)未満に 為ればソレノイドへの回路が遮断してデコンプ動作が解除と為る。 バッテリーに掛かる負荷の低減が目的では在ったが、実際にはセルモーターへの負担低減以上にソレノイドに掛かる 電気量が多く為る傾向が在り、目論見ほどバッテリーの保護には貢献しないと思われる。 |