〜メグロの小部屋〜:メグロ用語・センダイトメタル 主にメグロのシリンダーブロック部に使われたセンダイトメタルとは、1957年5月より自動車部品製造としては初めてメグロが採用 した、特殊鋳造プロセスによる鋳物鋼のこと。シリンダー及びヘッド部鋳鉄部分に、Y2レックス、T2セニアより適用が始まった。Z7 スタミナ、S3ジュニアも'57年式より適用され、その後の新車種全てで採用された。 センダイトメタルは、東北大学金属材料研究所の本間正雄博士による基礎研究の結果、独特の強靱鋳鉄製造法(特許)として発明された鋳造 プロセスである。メグロは数々の産学共同による研究の中で、エンジンの耐久性向上について目的に適した研究と位置付けて、本間博士の 特別な指導の下、鋳造部品製造子会社の(株)目黒合金鋳造所にてセンダイトメタルプロセスによる鋳鉄の研究を完成させ、これをエンジン 部品製造に使用する。 センダイトメタルの特長は、  @高抗張力がある。  A高弾性力がある。  B耐熱性が著しく向上。  C耐摩耗性が著しく向上。  D肉厚変化による硬度差が非常に少ない。 等々である。これら特性はカーボンを球状にして溶融鋳鉄に投入することで、鋳鉄組織にまんべんなく球状炭素組織が混和されることに よるが、同様な特長を持つダクタイル鋳鉄やミーハナイトは海外特許による製造法であった為、当時大変高価でメグロもこれ以前には ニッケルクロム合金による特殊鋳鉄を使用していた。 センダイトメタルによるシリンダーは、その摺動部に球状炭素組織が露出するために耐摩耗性が著しく向上し、また熱により消滅した部分 は微細空洞(ポーラス)になるので油膜が形成されやすい。通常この微細空洞を造るのに摺動部を有腔クロムメッキするなど処理法が用い られるが、メグロはOHC機関のアルミシリンダーに於いてもスリーブにはセンダイトメタルを使用している。 メグロ以外では日立金属(株)が同じく製造権を得て、船舶用機関部品や機械の摺動部分材料に利用している。なおセンダイトメタルの名称 由来は、お判りの通り、東北大学の所在する仙台市から採られている。