〜メグロの小部屋〜:250cc・SGT メグロ250cc・SGTは、Sシリーズの最期となったモデルで、メグロ整理直前の1964年9月より、カワサキ移行後'65年まで販売 された。 外観は従来のメグロスタイルとは全く異なり、よりスポーティーな燃料タンク形状とタンデムシート、直線的なフレーム構成で脱実用車を 目指している。どこかヨーロピアンモデルの雰囲気を感じさせるデザイン。 機関は新設計の248cc・単気筒OHV4サイクルで、従来のK5型エンジンから4馬力アップの18馬力、高速道路時代の250ccクラス に適した性能を備える。'62年、AY型として試作され、改良された2AY型試作機関がベース。機関の製造は川崎航空機工業に一任された ため、YKB171と言う川航コードとなった。形状は今までの英国車的スタイルから一転、一体型となりむしろイタリアンスタイルに近い。 突起が無く2ストエンジンのようなヘッドカバー、シンプルなクランク〜ギヤ部周辺、左に移ったシフトアームなど。しかしながら、その特性 は他社のような高回転高馬力なものではなく、従来タイプの低速高馬力で粘りのある特徴を兼ね備えてもいる。これは実用車としてのニーズ を捨てきれなかった現れでもある。 当時の内部資料(*)によると、SGTの開発コンセプトは、  @スポーティーなスタイル  A機関はミッション組込み単体式  B機関は4サイクル単気筒OHVセルダイナモ装備  Cペダルは右側ブレーキ左側ギヤチェンジ  D機関の特性はS7程度、低速トルクを維持しつつ、最高出力15馬力以上 とある。 結果、このエンジンがS−8と結びついてカワサキ250・メグロSGとして、実用車が誕生する。 皮肉にも、過去に同様の目的で作られたFシリーズの失敗は、ここでも繰り返される。結局、スタイルとエンジン特性のミスマッチにより SGTはほとんど実績を出すことは無かった。 SGTはメグロ仕様とカワサキ仕様の種類が存在し、違いは外装(エンブレム・ロゴ)に限られ、現存車はカワサキ仕様がほとんどである。 (*二輪史研究会資料「メグロ製作所社史」より参照) ・・・主要諸元・・・ ・全長:1990mm ・全幅:840mm ・全高:1060mm ・軸間距離:1330mm ・車輌重量:160kg ・機関型式:YKB171(SGE)型:単気筒OHV4サイクル ・総排気量:249cc ・最大出力:18.0HP/7000rpm ・最高速度:130km/h ・燃費:60km/リットル ・変速機:前進4段ロータリー ・タイヤ:(前)2.75×18−4 /(後)3.00×18−4 ・始動方式:セル・キック