〜メグロの小部屋〜:250cc・S−8ジュニア 〜本来、S−8ジュニアに関する解説は、本編「S−8の部屋」にて行う考えであったが、「メグロの部屋」として構成上のバランスを  考慮して、メグロ車全体の中でのS−8を理解するには他車と同次元の解説も必要と考え、改めてここに解説を加えて置きます。〜 メグロ250cc・S−8ジュニアは、シリーズの六番目の、そしてK型機関最後のモデルで1962年より'64年まで製造・販売される。 外観はS7のデザインから一転、S3時代の水滴型の燃料タンク、長めのホイルベース、鞍型のサドルシートに復古回帰したデザイン。 これに、S7のスイングアーム式リア、電装12v・バッテリー点火、セル付きと、ジュニアとしての集大成であった。 機関はK5型248cc単気筒OHV4サイクル。初期モデルと後期モデルが存在し、'62年12月より生産の初期モデルは同K5型機関を 使うS7セル付きの後期型と共通で13.5HP/5450rpmである。S−8の兄弟モデルJ−8の登場に合わせて'63年7月より 生産の後期モデルではエンジンを改良。同じK5型機関で在りながらJ−8用機関JH型と共通化により13.5HP/5400rpm と性能が向上している。 初期モデルと後期モデルの外観上での違いは、エンジンタイミングチェーンカバーの止めビスの仕様が、初期モデルでは8個、後期モデル 改良後は9個となり、カバー周辺からのオイルリークに関した対策と考えられる。 また、内部構成ではクランクウェイトの直径が160mm から170mm に替えられてJ−8との部品共通化がされて在る模様。そのためで 在ろうか最大トルクは初期モデルでは1.8kg-m/4200rpmから後期モデルでは1.85kg-m/4000rpmと増強されている。 S−8が登場した背景には、メグロの経営不振が続く状況の中で、最も実績の上がるS7ジュニアのてこ入れであったことは間違いない。 しかしその内容は、新たな車(SGT)の開発との狭間で、時間稼ぎ的なものと言わねばならない。新型車が軌道に乗るまで、S7では 持たない。AT用の外装部品とS7を組み合わせれば、メグロ愛好家の要望であったS3の再販に答えられる車ができたのである。 S−8は確かにS7の後継として良く売れたようであるが、時は既に遅かったのである。月に千台程度が売れても、他社は何千台もの 売上げがある中ではメグロを支えきれなかったのであった。 明確なデータが見つからないため、推測ではあるが、約5000〜6000台程度が販売されたようである。S系ジュニアの完成された スタイルから、今でもメグロ愛好家の人気は高く、台数の割に大事にされるためか残存台数も多い。 ・・・主要諸元・・・ ・全長:2115mm ・全幅:880mm ・全高:1035mm ・軸間距離:1380mm ・車輌重量:169kg ・機関型式:K5型:単気筒OHV4サイクル ・総排気量:248cc ・最大出力:(初期型)13.5HP/5450rpm       (後期型)13.5HP/5400rpm ・最高速度:(初期型)105km/h /(後期型)110km/h ・燃費:48km/リットル ・変速機:前進4段ロータリー ・タイヤ:(前)3.00×18−4 /(後)3.25×18−4 ・始動方式:セル・キック