〜メグロの小部屋〜:500cc・メグロ スタミナスポーツ KS 1960年に誕生したメグロ伝統の500cc・K スタミナ。この年開催された第7回全日本自動車ショーにおいてその先行試作車と共に 展示公開されたスポーツバイクがあった。メグロ スタミナスポーツKSは、Kスタミナをベースにチューンナップしたスポーツ仕様と云う 参考車であった。 スタイルはBSAなど英国車に似たKを更にスポーティーにした外観でまさに日本版カフェレーサーとも云えるもの。燃料タンクは細長の 段付きで白色全塗りにメグロウィングのバッチ付き。シートは真っ赤なレザー張りデュアルと云う、紅白カラーは恐らく日の丸をイメージ したのではと思われる。 ハンドルもいわゆる「殿様乗り」と揶揄されたセミアップの幅広ハンドルではなく、ローダウンで幅狭のコンチネンタルタイプ。ライトケース も小振りな砲弾形のメッキ仕様。メーター類は速度・回転・アンペアの三点がハンドルトップにパネルされて豪華。特に回転計はメグロ初 搭載である。このためかエンジンからのケーブル引き出しはY形カバーのポイント部から回転軸を伸ばしてカバー外部にギヤケースが設け られ、やや取って付けの感がある。メーターフェイスはブラックプレートに目盛りが細かく刻まれ精密な感じがスミスのメーターを思わせる。 タイヤサイズはKよりワンサイズ大きい19インチ。フェンダーは前後共に絞りの浅いプレスにメッキの仕様である。 チューンナップは外観だけでなく本質の機関もスポーツに相応しい仕様。ベースのKH型機関の圧縮比を8.3から9.7と高圧縮化した上、 ワンキャブをツインキャブ化したKHS型:二気筒OHV4サイクル機関は最大出力:39.0HP/7000rpm、最高速度:180km/hを 弾き出したとされる。KH型機関との違いはそのためシリンダヘッド部にあるが、その他は全くの共通であったと云われKH型機関のポテン シャルの高さが伺える。 キャブレターはKの三国アマル・376−27ではなく三国VM24の2連。エアフィルターは各キャブに弁当箱形の全面メッシュと云う 特別なもの。 自動車ショーでの反響は大きく、非常に目立つ存在であった様子は専門雑誌の表紙を飾ったことからも伺い知れる。それだけに一部マニア の注目を浴びた様子であったが現車が全くの参考展示であり量産ではなく希望により注文製作を受けるとしたワンオフバイクであったこと から同時期の輸入スポーツバイクをはるかに上回る価格により結局市場に出ることなくこの一台で終わったようである。その後の行方など 一切は不明であるが、メグロ終焉までは自社内に置かれていたと思われる。 ・・・主要諸元・・・ ・全長:2140mm ・全幅:700mm ・全高:1030mm ・軸間距離:1430mm ・車輌重量:185kg ・機関型式:KHS型:二気筒OHV4サイクル ・総排気量:497cc ・最大出力:39.0HP/7000rpm ・最高速度:180km/h ・燃費:33km/リットル ・変速機:前進4段ロータリー ・タイヤ:(前)3.25×19−4 /(後)3.50×19−4 ・始動方式:キック