〜メグロの小部屋〜:カワサキ500・メグロK2 川崎航空機工業に引き継がれたメグロ伝統の500ccクラスとして1965年にメグロK・スタミナの改良モデルとして登場、翌'66年 まで製造・販売される。 機関はカワサキ製になり大きく変化した。英BSA似だったベースのK型用機関・KH型のウィークポイント解消を目的に新規改良されている。 お世辞にもスマートとは云えない下膨れの腰下形態だが、しかしこの形に至る迄のオイル系を中心とした改善策により、3HPもの出力アップ と10km/hもの最高速度アップを達成し、本家英国車を凌いでいる。 「W1 FILE」(山海堂 刊)によると、メグロとカワサキによってKの改良が進められていた'63年頃、既にK2開発の動きがあり、 カワサキサイドによって機関の設計が進められていた。目的は、来るべき東京五輪での警備用としてで、相当台数の内示を受けていた。 しかし、K2の開発はメグロの整理と言う環境の変動によって、五輪に間に合わすことが物理的に不可能となった。結果、五輪警備には在来の K型の改良(後期型)を集中製造することで補い、メグロとしてのK2は幻となった。 メグロ整理後の'65年、カワサキは、ほぼできあがっていたK2を発売するが、それはK型の改良フレームにカワサキが独自にK型の機関を アレンジした、似て非なる機関を搭載した車であった。 これはK2が全体としてメグロを見習いながらより完全な車としてカワサキが描いていた仕様にすべくカワサキが初めて完成された二輪車 を目指したことが伺える。もし計画通り、対米輸出モデルとして成功していれば、Wは無かったのかもしれない。それ程の内容ではあったが、 カワサキは更に上を目指しX650試作、そしてWによって目的を達成した。それはK2で身につけた二輪車開発の技術に自信を得たからで あろう。 よくK2は、K型を元にメグロが開発したように錯覚するが、メグロが関わっていたのは、カワサキに蓄積がない重量車としての基本技術、 すなわちハンドル安定性や重量配分などそのほとんどはフレームに関するものであって、それも直接ではなく"技術指導"的な役割であった ようだ。このことが、K2がカワサキ初とされる所以でもある。事実、機関技術者は一名もカワサキへ移動することはなかった。 営業面でのK2はほとんど白バイ需要と言ってよく一般にでることは希にしか無かったようで残存台数も極端に少ない。「W1 FILE」に よると、1057台(K2:446台・K2P:611台)の製造が確認されている。しかしKに比べ格段に機動性が良くなり乗りやすくなったK2の 人気は意外に高く、カワサキのファンにとっても貴重なモデルではある。 ・・・主要諸元・・・ ・全長:2185mm ・全幅:900mm ・全高:1070mm ・軸間距離:1430mm ・車輌重量:194kg ・機関型式:KB271(K2E)型:二気筒OHV4サイクル ・総排気量:496cc ・最大出力:36.0HP/6500rpm ・最高速度:165km/h ・燃費:35km/リットル ・変速機:前進4段ロータリー ・タイヤ:(前)3.25×18−4 /(後)3.50×18−4 ・始動方式:キック ・・・メンテナンスデータ・・・(登場時規定値) ・点火プラグ:B−6E ・プラグギャップ:0.6mm〜0.7mm ・バッテリー:12V−7AH(日本電池・12N7−3B) ・キャブレター:三国・376-27(VM28H) ・エンジンオイル:SAE30(冬季・#20/夏期・#40)容量3.0リットル ・カムプロフィール:(吸気)上死点前40°〜下死点後60° /(排気)下死点前80°〜上死点後30°