〜メグロの小部屋〜:500cc・K スタミナ メグロ伝統の500ccを引き継ぐ看板車として、1960年に単気筒車Z7と二気筒車T2を合体させる形で誕生。メグロ倒産後の '65年、カワサキによる改良車K2が登場するまで製造・販売される。 単気筒車Z7の愛称「スタミナ」を引継ながら、来るべき高速道路の登場を見据えた、軽くて高速性能を高めるべくBSAなど英国車 を参考に二気筒497ccエンジンを新規開発。T2より小排気容量でありながら、すべての性能で当時の英国車に匹敵する高性能車 となった。よって少なからず英国車の模倣として悪しく評価されるが、元々英国車の様式を範としてきたメグロが仕様上、英国車と似 た進化をしたとしてもおかしくはない。このあたりの事情は「W1 FILE」(山海堂 刊)に詳しい。 外観の特徴は、Z7やT2の様式を採りながら、前後を詰めてやや腰高ではあるが操作性能に優れるハンドルポジションを確保。結果、 フレームおよびエンジンの軽量化につながり、当時国内最大排気容量車に相応しい車であった。 開発当初よりKはZ7P(白バイ仕様)の後継車とされ、製造された内の多くがKPであった。当時K以外に警察庁の要求を満たす車 種が無かった(陸王、ホスクなど大型車メーカーはそれまでに消滅)事と、メグロへの信頼が厚かった事もあり独占状態ではあったが、 '64年9月末にメグロが整理された数日後、皮肉にも東京五輪の開会パレードでKPが先導する事となる。以後、カワサキによる改 良車K2Pに引き継がれるまでKは白バイとしてのみ製造される。 しかし、KはカワサキによってK2、X650と改良進化、カワサキの主力車としてW1に生まれ変わって後、'73年650RS (W3)として終えるまでの長期にながらえ、今も多くのファンを擁している。 技術面では、特にその剛性に優れたフレーム技術が、後にカワサキを大型車を主力とするメーカーへと革新させることになる。 形態的には一貫しているが、当初より潤滑系統に弱点を持ち(機関容量の割にオイル流量が少ない)、カワサキとの提携後に後期型として 改良(オイルタンク容量の増強と潤滑系の見直し:フィルター兼クーラーの廃止とポンプの改良など)が成されている。 「W1 FILE」によると、2868台(K:1751台・KP:1117台)の製造が確認されているものの'63年の記録が見つかっておらず、推測 による生産台数でしかないが、機関番号で6000番台の個体が確認できて居るので、約5000台程度が生産されたようである。 大型車としては残存台数も多い。 ・・・主要諸元・・・ ・全長:2150mm ・全幅:900mm ・全高:1075mm ・軸間距離:1430mm ・車輌重量:190kg ・機関型式:KH型:二気筒OHV4サイクル ・総排気量:497cc ・最大出力:33.0HP/6000rpm ・最高速度:155km/h ・燃費:35km/リットル ・変速機:前進4段ロータリー ・タイヤ:(前)3.25×18−4 /(後)3.50×18−4 ・始動方式:キック ・・・メンテナンスデータ・・・(登場時規定値) ・点火プラグ:前期型・NGK・B−54E/後期型・B−6E ・プラグギャップ:0.6mm ・バッテリー:12V−7AH(DC3−12) ・キャブレター:三国アマル・376−27 ・メインジェット:#270 ・エンジンオイル:SAE30(冬季・#20/夏期・#40)容量・前期型2.2リットル/後期型3.0リットル ・カムプロフィール:前期型・(吸気)上死点前40°〜下死点後60° /(排気)下死点前67°〜上死点後39°        後期型・(吸気)上死点前30°〜下死点後70° /(排気)下死点前70°〜上死点後30°