〜メグロの小部屋〜:250cc・Jジュニア 旧ジュニアシリーズの一番目のモデル、メグロ250cc・J型は、日本初の250ccバイクである。1950年12月登場から、翌 '51年12月までの間に779台製造とされている。"J"は、メグロの主力バイクである"Z"の子供との位置付けから、「ジュニア」の アルファベットから名付けられたとされる。そしてメグロとして初めてニックネームが付けられ、同じく「ジュニア」と呼ばれた。 JジュニアのJ型機関は、先述の通り日本初の250ccバイク用として新開発された。250ccとしたのは、単に500cc・Z型 の半分、と言うことのようである。開発者は、戦前より自動車開発で名声を得ていた蒔田鉄司。 蒔田は、大正11年に国産初の量産自動車となった「オートモ号」を設計、その後小型三輪自動車「ニューエラ号」の開発、国産四輪駆動車 (4WD)の「くろがね四駆」の開発を手掛け、自動車開発の天才と云われた人物。当時日本内燃機製造(株)に在職していた。蒔田は250cc 機関の開発でもその天才ぶりを発揮し一晩で設計を完成させたという逸話が伝わっている。 当時のことを「目黒製作所」取締役であった鈴木武雄は、「専務の鈴木高治と同じ静岡(島田)の出身で、日本内燃機の「くろがね号」なんか のエンジン設計で評判を得た人なのでお願いしてみた。試作してみると、どうも具合が良くない。そこでストロークを短くしてみようと 言うことで試してみたところ良くなった」と、後に回想している。 J型機関は、その後のメグロのエンジンスタイルとは異質で、246cc単気筒OHV4サイクルながらプッシュロッドは内包されて外観 からは見えない。またマグネトーなどタイミング機構の配置がエンジンの前方にあるなど特徴を持つ。試作当初のボア×ストローク・ 65×75は、70×64に上述のように修正されているが翌年、発展改良されて登場するJ2では当初のボア×ストローク・65× 75に戻された。これが、その後のメグロエンジンの基本仕様となったのである。 フレームは500cc・Z型をそのまま軽快にしたような構成の為、リアサスは無くリジッドフレームである。フロントフォークには、 それまでのガーター式ではなくテレスコピック式がメグロで初採用されている。 ・・・主要諸元・・・ ・全長:2140mm ・全幅:780mm ・全高:1000mm ・軸間距離:1390mm ・車輌重量:174kg ・機関型式:J型:単気筒OHV4サイクル ・総排気量:246cc ・最大出力:7.0HP/4000rpm ・最高速度:70km/h ・燃費:− ・変速機:前進3段 ・タイヤ:(前)3.00×20−4 /(後)3.00×20−4 ・始動方式:キック