〜メグロの小部屋〜:300cc・J−8アーガス メグロ300cc・J−8アーガスは、S−8ジュニアの兄弟モデルとして1963年より'64にかけて約百数十台程度が製造・販売 されている。 外観は250cc・S−8ジュニアそのままで、排気容積が288ccにボアアップしている事と、外装上の違い以外、全くの同一車で ある。 主な外装上の違いとしては、燃料タンクの塗装仕様がKスタミナと同様である。そして車重の軽量化のためセルモーターおよび付属機構 (電磁デコンプ)を廃止したことである。 誕生の背景として、当時建設中であった首都高速と部分開通していた名神高速道路の存在にある。まだ高速道路というものは日本の自動 車産業にとって未知のインフラであり、乗用車でさえ満足に走行できるかわからないものであったらしい。メグロでは高速道路に対応す るために500cc・Kスタミナを開発、既に警察庁に対しパトロール仕様車を出荷していたが、現場のニーズとしてKよりも取り回し の軽い車の要望があったと言われる。 このように、Kよりコンパクトであり、かつ高速道路に対応する新シリーズとしてS−8をモデルに300ccクラスの開発(と言うよ りはマイナーチェンジ)がされたのがJ−8である。 S−8との関わりで言えば、S−8の後期モデルとJ−8は部品レベルで改良共通化がされている。特にエンジンタイミングチェーンカ バーの止めビスの仕様が、S−8前期モデルでは8個なのが改良後は9個となり、カバー周辺からのオイルリークに関した対策と考えら れる。 また、内部構成ではクランクウェイトの直径がJ−8用に170mm が採用されて在り、合わせて原型のS−8用K5型機関も160mm から替えられてJ−8との部品共通化がされて在る模様。 ある資料には更に500ccのモデルの存在を臭わす記述があるが、これは疑わしい。もし可能であれば288ccという半端な排気容 量ではなく始めから300cc以上で開発していたはずである。おそらくではあるが、燃料タンクの塗装仕様がKと同様である為に誤認 したと観るのが適当と考える。 なお当時、白バイとして採用され始めて在ったホンダ・CP77 (305cc)を意識してか、メグロでは異例の300ccクラスでの白バイ仕様車 J−8Pが存在したとされて居る。 ・・・主要諸元・・・ ・全長:2115mm ・全幅:880mm ・全高:1035mm ・軸間距離:1380mm ・車輌重量:162kg ・機関型式:JH型:単気筒OHV4サイクル ・総排気量:288cc ・最大出力:15.0HP/5500rpm ・最高速度:115km/h ・燃費:− ・変速機:前進4段ロータリー ・タイヤ:(前)3.00×18−4 /(後)3.25×18−4 ・始動方式:キック