〜メグロの小部屋〜:125cc・E1レジナ メグロ125cc・E1レジナは、メグロとしては初めての小型二輪クラス車である。1954年に免許制度が改正されて、それまで軽二輪 免許が必要であった125ccクラス車は新たに区分の設けられた原動機付き自転車(原付)に組み入れられ、運転許可登録だけで乗れる ようになったことにより、このクラスの需要が伸びると期待されて開発がされたバイク。 1955年5月より発売され、後継車・E2レジナに切り替わる1957年5月までに3394台生産されている。重量車メーカーだけに 小型二輪車の開発は容易ではなかったようで、如何に軽い車にするか苦心の跡が観てとれる。 新開発の機関・EH型はメグロとして初めてのモノブロックユニット式となり、ボア×ストローク・52×58とロングストロークのOHV 単気筒に組み込まれたトランスミッションは上級車に同じく4段ロータリー式である。変速4段は当時としてはこのクラス初であった。 点火方式もマグネトーではなく、これもメグロとしては初めてバッテリー点火方式を採用。しかもこの方式の難点であるバッテリー上がり での始動困難に対して、その様な状況でも始動可能な容量性能を持つ発電機構として、ユーザーの利便性を考慮している。 フレームは極力軽量化に努めてはいるが、110kgと他社に比べれば重たい。しかし燃料タンクの意匠やエンブレム、性能面では軽二輪に 匹敵するなど、上級車の250ccジュニアへの入門車的仕様で、メグロを欲するファンには入手しやすくなったモデルではあった。 なおタンクバッヂのメグロウィングは紺色の箇所が青緑になっているので125cc車と容易に判別できる。 メグロの小型二輪車はここからはじまるが、期待するほどには実績を残していない。確かに免許制度の改正によって125ccクラス車は 市場が拡大したのだが、その殆どがホンダ、スズキ、ヤマハ、トーハツといった新興小型車大メーカーによって占められ、早くも弱小メーカー は厳しい競争に翻弄されるようになっていた。メグロはこの競争を乗り切る為にも125ccクラス車を売る必要があったが、結果的には 専用に設備した経費が嵩み、その後のメグロ苦難の一因ともなった。 現存する車は少なく、ビンテージバイクとしての人気もあまりない。大多数がスクラップになってしまったようであるが、農家などで使われ てそのままになっている可能性も高いので、今後も発見されるかもしれない。 ・・・主要諸元・・・ ・全長:1975mm ・全幅:760mm ・全高:920mm ・軸間距離:1290mm ・車輌重量:110kg ・機関型式:EH型:単気筒OHV4サイクル ・総排気量:123cc ・最大出力:5.2HP/5000rpm ・最高速度:75km/h ・燃費:70km/リットル ・変速機:前進4段ロータリー ・タイヤ:(前)2.50×19−2 /(後)2.75×19−4 ・始動方式:キック