〜メグロの小部屋〜:125cc・CAキャデット(CAS キャデットスポーツ) メグロ125cc・CAキャデットは、小型二輪クラスのE3の後継車として1959年のモーターショーに発表、翌年1月より販売 される。 E3は不評であったメグロOHC4サイクル機関シリーズの小型二輪クラスで、250ccのF共々仕様見直しによってCAが開発される。 外観はE3のフレームをそのまま使いながら黒色をベースに250cc・S7と揃いのメッキタンク(形状はCAオリジナルのデザイン) 、エンブレムも特徴あるS7と同じ仕様とした実用車的デザイン。 機関はCAH型123cc単気筒OHV4サイクル(7.5HP/6700rpm)で、E3のOHC4サイクルから戻した事情はS5に同じ。 ただこれは新設計の機関で形状は一体型ウェットサンプ、今流の左チェンジ・右リアブレーキのペダル配置をE3から継承した。 このため変速機の構成をメグロの主流であった英国車仕様の右チェンジ・左リアブレーキの配置ごとひっくり返したのでキックペダルも 左側にある。 またCAにはタペット自動調整装置というものが開発搭載されている。これは、機関の熱膨張によるタペットクリアランスの発生に対して プッシュロッドの遊間と片押バネを利用して自動調整するという特許機構であった。これにより高負荷時のタペットノイズと摩耗が改善 されて静かなエンジンと好評になる。 電装は小型二輪としては珍しく12v・バッテリー点火とした。これはメグロとして初めてセル・ダイナモを搭載したことによる。また バッテリーは6vのものを二個直列でつないでいる。 フロントフォークもスポーツ仕様であったE3のアールズフォークからテレスコピックになり250cc同様安定した走行性を確保、 バランスのよい小型二輪に仕上がっている。ただ250ccにも劣らない車重(124kg)は重すぎる。 ウィンカー(当時はフラッシャー)は新デザインとなり、同時期のDA、K、後にAT、S−8、J−8まで流用された。 CAキャデットにはスポーツモデルとしてキャデットスポーツCASが受注生産ながらラインナップされている。キャデットベースながら セミアップのエキゾーストパイプとマフラー。オフロードスポーツ仕様としたのかメッキではなく全塗装仕様とされた燃料タンク。車重も 軽量に抑え127kgと3kgアップに留めている。最大出力は0.5HPアップの8HP/6000rpmであった。発売実績は不明であるが、 ほとんど無かったのではと考える。 「キャデット」とは士官候補生の意味があり、CAを上位クラスのジュニアシリーズへの入門車として位置づけたようでもある。このため 小型二輪ながらS7ジュニアレベルの装備を備え、しかし値段は抑えたことでCAはジュニアに次ぐ販売台数を上げていった。1963年 7月までに7118台生産されて、最終的に約8000台程度製造された模様。東南アジアを主に輸出もされて約700台が海外に出た。 (当時の沖縄含む) 現存する車はやはり少ないようでビンテージバイクとしての人気もあまりない。小排気量車ゆえに耐久年数を超えるとスクラップになって しまうようである。 ・・・主要諸元・・・(CAS) ・全長:1925mm ・全幅:700mm ・全高:960mm ・軸間距離:1275mm ・車輌重量:124kg (127kg) ・機関型式:CAH型:単気筒OHV4サイクル ・総排気量:123cc ・最大出力:7.5HP/6700rpm (8HP/6000rpm) ・最高速度:90km/h ・燃費:60km/リットル ・変速機:前進4段ロータリー ・タイヤ:(前)2.75×17−4 /(後)2.75×17−4 ・始動方式:セル・キック