イベント参加風景 

(第四十六回) 「(第22回)古き二輪を愛でる會」より、 

ようこそ!「イベント参加風景」では、わたしがS−8で行ったり、
メグロ目的で見に行ったイベントを中心に撮影した写真を紹介します。
メグロ以外の珍しいバイクをどんどん公開しますので、ビンテージファンのみなさまお楽しみに!


◎ 今回は、2017年10月8日に行われた「(第22回)古き二輪を愛でる會」
  より紹介します。

◎ 毎年恒例の「京都・古き二輪を愛でる會」ですが、今回も会場はこちら、
   スチールの森 京都(府民の森ひよし)にて開催がされました。

◎ 絶好のロケーションに前日の雨も上がっての好天気の中、
  名車・珍車が多数参加!(600台以上!?〜主催発表)
  盛況の内に行われました。

◎ それでは、その中からピックアップして紹介して参りましょう〜

 旧車ミーティング風景(40)
「(第22回)古き二輪を愛でる會」より、


  トーハツ・PK56B
  (1956年)

先ずは本会の会長様バイクからご紹介〜
国産旧車のメーカーで外せないのがトーハツ。
現在も盛業中ながら、メグロと同様にオートバイ部門は遠い昔の話と為って久しい限り。
有名処ならば小排気量のスポーツモデルですが、会長様のチョイスは流石に渋い!
PK56は型式のとおり1956年登場の初期ラインナップモデル。
昭和初期創業メーカーながらオートバイメーカー参入は戦後当時の世相を反映しての朝鮮動乱頃。
'50年に他の新参メーカー共々所謂"原動機付き自転車"の製造販売から始まり、
同53年に完成車モデルのPK53がデビュー。
100ccクラスからスケールアップして125ccクラスで登場したのがPK56由。


昭和30年代のモデルと在ってオートバイの容姿としては整った好ましい外観印象。
ただ意匠性は貧弱で個々のパーツをフレームに組み付けただけと云った造り。
トーハツに限らず、当時の中小メーカー製実用バイクはどれも似た造りで、
エンジンもトーハツのみならずガスデンなど外販するメーカー製を搭載するので
外観上でも極めて似て仕舞い見分けに難儀します〜笑

で、この個体ですが後で調べますにタイプBと云われるモデルで在る様子。
PK56との違いはリアフレームの改良とリア緩衝のプランジャーストローク変更。
そして伴っての車体高さが変わりバンク角が大きく為った、などとの由。
PK56としての生産台数が単年度で14800台、同じくPK56Bとして14000台。
総台数で29000台あまりと当時の業界トップメーカーに躍進する礎と為った、
トーハツのベストセラーモデル。

 T56B-2型:単気筒123cc・2サイクルエンジン

トーハツが得意とした2stエンジン。
仕様自体に特徴は無いが、当時としては既に旧態と為る変速機別体で在る。
基が発動機メーカーで在るが故か、機外構成部品の内製には苦慮して在ると見えて、
オートバイメーカーとしての技術力の差違が伺い知れる。
尤も、登場翌年頃には意匠の向上と共に技術力もアップして、
'60年代前半にはヤマハ、スズキ、ブリヂストンと並ぶ"2スト四天王"の一角を為す。

ボアxストローク:56x50mm の123cc
最高出力:5.5HP / 4500rpm
最大トルク:0.91kgm / 3500rpm
最高速度:85km/h


キャブレターは当時のオートバイ向け標準仕様で在るミクニアマルの別体フロートタイプ。
エアフィルターの装備は未だ高級な仕様為か、簡易なエアシャッター付きのメッシュファンネル。
発電と点火系はフラマグ仕様、車体右側クランク軸上に配置。
並びで別体変速機が在るが、フラマグカバーと揃えた意匠で一体感を持たせて在る。
シフトは前進3段、キック始動のみ。
左側にプライマリ駆動系を配置、チェーンカバーはメグロ車同様。
仕様上ドイツ車流儀なエキゾースト系はオーソドックスに単管パイプと筒型マフラーの構成。
イグニッションスイッチはエンジン後方のツールボックスに付く。

 フロント廻り

緩衝はテレスコピック型、制動は小径ハブながら全幅のドラム式。
ホイールは2.75の24in、自転車サイズの大径。
街中の配送主力が自転車で在る頃の名残か、
他社の原付、小型実用バイクの多くが同じで当時の標準サイズで在ったか!?
フェンダーは、ホイールに沿って覆うシンプルな意匠。
原型では風切り板が標準装備で在った様子。


 ハンドル廻り

このモデルでは数少ない意匠を凝らしたライトケース。
レンズサイドに合羽のフードを被せたようで面白い。
ケース上面はメインキースイッチがシートサイドに在るのでメーターのみの配置。
フォークのトップブリッジと共にパネルとして在り簡易なナセル形状を為す。
手前に在るダイヤル形態のノブは腕木式方向指示器の操作盤。

 腕木式方向指示器

其の方向指示器。
通称"アポロ"と云ってお馴染みな当時の汎用装備品。
ですが本来は腕木式方向指示器の一種(アポロ式指示器)を指した呼称。
他にも幾つか同種の指示器を造るメーカーが在ります。

当時の外装部品がそうで在ったように、
バイクのブランドプレートが付けられて純正部品で在ることを示してます。
なので同一部品で在ってもメグロ向けには"メグロ"ロゴのプレートが付いた部品が付きます。
写真のとおり"トーハツ"ロゴ付きの純正部品ですね〜

操作は先の操作盤ダイヤルを向いたい先に捻れば、
接続した索道管に拠り写真の鞘から腕木が飛び出して方向指示を為します。
種類に拠っては腕木が電照に為って在り、
夜間でも安全に使用できます。


 リア廻り

戦後10年を経たとは云え、未だ物流の手段としては人力に自転車が幅を利かす時代。
積貨の配送配達に長けた実用バイクがオートバイ市場の主役!
PK56も需要に乗りベストセラーモデルと成った由。
積貨に適した頑丈な鉄棒組みの荷台に、確り荷重を支えるプランジャー緩衝に拠る懸架。
実用バイクとして十分な仕様。
右側のプランジャー横ケースには"battery box"とある。

フェンダーはフロント同様にシンプルなもので、タイヤを縦に拡く覆う。
制動はフロントに同じくハブ組みのドラム式、ホイールサイズはフロントに同じ。
駆動系はオープンチェーンで上辺にのみカバーが覆う今流形態。
実用バイクにフルチェーンケースが装備されるのが一般的に為るのはもう少し後のこと。
テールランプは本来のケーシングベースが失して居るようで、
代わりに丸缶ケーシングの小型なモノを付けられて在る。
(後日、ヤマハの部品を代用との由、教授いただきました〜)


 シート

箱型にも視える程に厚みが在るサドルシート。
厚いクッション材を表皮で覆い裾縁に鋲留め。
下支えのクッションにはコイルばね二本で。
座り心地も人気の重要なファクターだったか!?


 フェルタンク

奇をてらわず素直なティアドロップ形態としたフェルタンク。
元々サイドはメッキで在ろう箇所は錆色に。
比べてトレードマークのタンクバッチが鮮やかなこと!
給油口のキャップも時代に不釣合いなほどモダンな意匠。
何か流用にも思いましたが"トーハツ"ロゴ付き(純正!?)



 トーハツ・ランペットスポーツCA2
  (1962年)

トーハツ続きで、此れは外せない"ランペット"!!
拙サイトで幾度と紹介申して居りますが、何度拝見しても飽きが来ないのは流石〜笑
実用車一辺倒で在ったトーハツが時流に即す為に他社スポーツモデルの一歩先を見越して市場投入!
初代CAとそのワークスレーサーがクラブマンレースでの戦績を独占するに至り、
当初よりレーサーマシンベースと為ることを前提とした施策(オプションパーツキット、レーサーマニュアル)
を用意、モデルネームを"スポーツ"としたCA2は一躍トーハツのオートバイブランドの代名詞的存在に!
此方個体はほぼ当時原型まんまに在る様子で見応え十分〜


ヘッドライトケーシングに付く風防は意匠された標準装備。
エキゾースト系はチャンバー部とマフラー部が分割されて在り、
レース時にはマフラー部を除いてチャンバーが残る仕様。
チャンバー自体も実際に成績を挙げたクラブマンレース参戦実績品を基に設計された由。
CA2のアイデンティティと云えるリアサイドに付くパニアバッグは、
レース参加前提の意匠を持たせたゼッケンプレート形態。
参加番号を追記すれば、気分はクラブマンレーサー♪



 カワサキ・MB−1A "コヨーテ"
  (1969年)

またまた見掛けることのないバイクが!
カワサキがこんなの造って居たの!?
視ての通り、ホンダの"モンキー"に刺激を受けたと思しきレジャーユースの小型バイク。
馴染みが無いのは道理で、完全輸出モデルで在った由。
向け先は北米で、当時のカワサキがW1やマッハ、Z1で拡販攻勢を掛けていた中、
レジャー用途にも市場を拡げようと画策したのでしょうかねェ〜


当初は自前の50cc・2ストエンジン(KT-30)を搭載してMB−1として誕生、由。
ところが、
余りにもプアーな設計で在った為か高い故障率と50ccエンジンの非力(3HP/7000rpm)に因って、
僅かに400台で終息〜

急遽、仕様を見直して登場したのがMB−1Aとのこと。


 KF34型:単気筒123cc SV・4サイクルエンジン

其のエンジン、型式が此れなのか???で不明。
ですが、素性はアメリカでは一般的な芝刈り機の大手メーカー、 ブリッグス・アンド・ストラットン社の汎用エンジンコピーなのだそう。
日本では考えられないほどアメリカの一般家庭では芝刈り機の普及率が高いことから、レジャー用途での相性が良いと考えたのか!?
で、此のエンジン自体はなかなかの秀作で在ったらしく、其の後'87年頃までラインナップされて在ったとの由。

始動はリコイル式手動スターター付きに拠る。


メインフレームは鋼パイプに拠るループ組み構成。
緩衝はフロントにのみ簡易なコイルばねを用いたテレスコピック式。
リア懸架は緩衝無しのリジッドに拠る。
ホイールサイズは3.25x8in、制動はリアのみドラム式を装備。
但しオプション設定にてフロントブレーキ(リアに同じ)が用意されて在った由。
用途が公道走行を前提にされてなかったので、灯火類やバックミラー等の保守部品の装備も一切無し。

フェルタンクは敢て形状意匠はせずに汎用エンジン付帯品に在る箱型のモノを流用か!?
カラーリングは青のフレームカラーに対して白塗りが映えます♪
タンクサイドに"COYOTE"のデカールサインが付くとバイクらしい形態に。

比して立派なシングルシートを装備。
如何にもクッションが効きそうなボリューム感に、カワサキのハイクラスオートバイに匹敵する表皮仕上げ!
リアエンド側に"KAWASAKI"ロゴがプリントされて在り、
用途はホビーでもカワサキオートバイの一機種として立派にラインナップ♪



 DSK・A50
  (1955年)

続いても拙サイト初紹介と為る、和製BMWとして知られる大東製機のA50!
今までに250ccモデルの A25と其の後継モデル ABは紹介済み。
何れもBMWの250cc:R25、R26を基に完全コピーな仕様でしたが、
其の 500cc:R51/3の 仕様を忠実にトレースしたモデルと為るのがA50。
A25同様に大東製機の書き文字が無ければ全く違いがわかりませ〜ん!


反対側面もBMW・R51/3まんま。
強いて違うのはシートがデュアルタンデム仕様にされて在るくらいですが、
A50の原型はR51/3と同じくシングルの鞍型シートで在った様子なので、
現オーナー方までの経緯でBMWのデュアルシートに換装されたのでしょう〜
そもそも日本国内に在るR51/3自体がかなり少数稀少との由、
何れも街中で見掛けることが在れば幸運ですね♪


 A50型:空冷水平対向2気筒496cc OHV・4サイクルエンジン

BMWのシンボル的意匠とも云える水平対向2気筒のエンジン。
そして駆動系のシャフトドライブは静粛性が高い。
其れを寸分まんまに国産したのだから大したもの!
ネジ一本に至るまで本家BMWのパーツと互換する由。
但し材質レベルでは劣るとの意見も。
そのことが当時、全くのコピー製品で在ったにも関わらず、
国内限定での生産販売が許された遠因で在ったとも!?

ボア×ストローク:68x68のスクエアツイン、496cc
最大出力:25HP / 5600rpm
最高速度:140km/h


キャブレターはミクニ・MC22V-DF
点火系はマグネトーに拠るポイント式、平出・HM-B型
発電系もダイナモに拠る、同じく平出・HDG型、由。
変速機は常時噛合の4段、キック始動
クラッチは乾式多板からの駆動系はシャフトドライブ。

 フロント廻り

フェンダー上の風切り板に"DSK""大東精機"と書き文字が無ければBMWまんま。
深絞りで拡くタイヤを覆うフェンダーは悪路走行際の必須条件。
且つ実用モデルでは欠かせない仕様。
緩衝はテレスコピック型、制動は大径ハブの全幅ドラム式。
ホイールサイズは3.5の19in
その後、本家BMWは新シリーズに換わりR50,R69,R27では側車対応のスポーツモデルに。
なので緩衝にはアールズフォークに代わる等で変化するも、A50は基仕様で終始。


 ハンドル廻り

実用モデルながら、ハンドルポジションは当時としてはスポーティーなショートセミアップ型。
此れも本家BMWに倣ったがゆえに、他の国産車とは一線を隔す。


 ライトケース

ライトケースは如何にも独車な砲弾型にレンズリムは鍔無しの丸め縁。
メグロS7やK2など、他社でも倣った秀逸意匠。
上面には速度計の他、メインキースイッチ、ポジションインジケーターランプを配置。


 リア廻り

BMWと云えばシャフトドライブ!
其れに倣ったDSKも然り!!
駆動系が軸-シャフトで構成されて在ると必然にオイルシールを多用することに。
DSKはオイル漏れを嫌い本来のBMW仕様以上に用いて在るとの由。
なので、通人に云わせるとDSKは転がりが渋いのだとか!?

懸架は積貨に向くプランジャー式。
拠って剥き出しのシャフト部位は戦前仕様を残して居り、
スイングアームにシャフトが内包される近代仕様は未採用。


制動は全幅ハブのドラム式。
ホイールサイズはフロントに同じ、此れまたBMWと同じフェンダーで部位だけ見ても違いが???
エキゾースト系も全くのBMW、筒状マフラーの造りもまんま〜

シートは流用のデュアルタイプを装着の様子。
基は鞍型シングルのシートにリアフェンダー上は荷台装備の仕様。


 フェルタンク

もうタンクバッチを視なければBMWと違いが付かないフェルタンク。
艶黒塗りに白線で子持ち二本の縁取り意匠は全く同じ。






 BSA・A10 "Golden Flash"
  (1955年)

続いては、 メグロ500・K"スタミナ"が 倣ったとされる英BSAのA10「ゴールデンフラッシュ」
元々500cc・A7が在り、その650ccボアアップ的モデルとして1949年に誕生した由。
その後BSAの代表的モデルシリーズの核を為す車種系統として世界的名車で知られるのはご存知のとおり。
此の'55年式では、前年より採用されたリアのスイングアーム懸架にてよりスポーティーな仕様に!


当時のBSAスタイルは黒色やダーク系の色調をベースとしたフレームカラーで在った中で、
当初から北米市場をターゲットに置いた販売戦略から明るいベージュカラーを基調とした意匠。
其のカラーイメージから「ゴールデンフラッシュ」のペットネームが付いたとか。
その8割が輸出に廻されたことで、英本国では殆ど見られなかったそうな。
A10の派生モデルとして「ロードロケット」が'57年に、翌年には著名な「スーパーロケット」が登場。
更に'62年、単気筒モデルの「ゴールドスター」フレームに載せ替えた「ロケットゴールドスター」で最終形と為る。

 CA10型:空冷直立2気筒646cc OHV・4サイクルエンジン

見慣れた(苦笑〜)Y字形態のタイミングカバー。
ベースと為った500cc・A7から引き継がれたBSAエンジンのアイデンティティ。
実際にも多くの部分でA7エンジンと共用で在るとの由。
比較的に高性能で在ったA7ベースからのボアアップなので、
特別仕様ではないにも関わらず加速度性能が秀逸で160km/hに僅か16秒で達するとか!?
そのスポーティーな特性から、北米市場に於いてはライバルの英Triumph各モデルを凌ぐ実績を得たとの由。

ボア×ストローク:70x84のロングストロークツイン、646cc
最大出力:35HP / 5750rpm
最高速度:160km/h

A10初期ではリア懸架がリジッド〜プランジャーで在ったことから、エンジン構成にも違いが在るそう。
エンジン本体に変速機がボルトで直組付されたセミユニットで在るのに対し、
此の'55年式ではリア懸架がスイングアームと為り、本体と変速機が完全分離した別体仕様。
変速は4段リターン、キャブレターは本家AMALがシングルで付く。
点火系はLUCAS社のマグネトー自動進角に拠る。

 フロント廻り

フロント廻りには現用に通じるテレスコピック緩衝を採用。
ホイールサイズはカフェレーサーサイズと云える19in
制動は未だ片ハブのドラム式で、全幅ハブへの過渡期。
頑丈そうな深絞りのフェンダーはメグロ車にも通じる仕様。
その支えを為す後方のステーは前輪のスタンドにも為る。
道路事情の悪い時代にはフロントスタンドを用いてタイヤ修理が容易にできる装備。


 ハンドル廻り

ハンドルはスポーティーなショートセミアップ型でカフェレーサー向き。
レバーホルダーにスロットル、チョークレバー等々、
クロームメッキされた付属パーツのアクセサリー如くに輝く様子が、これぞ"British Motorcycle"
樽型ハンドルグリップもお似合い〜♪

 ライトケース

ナセル様式のライトケースカバーを得意とするTriumph各モデル程には及ばないものの、
簡潔に意匠されたカバーが付く「ゴールデンフラッシュ」のライトケース。
上面に定番のSmithメーター、右サイドにアンメーター、左サイドにライト切替スイッチ、
メインスイッチはセンター手前に配置。
レンズリムの鍔無し丸め縁は独車に限らず当時の時流か?

 リア廻り

A10のリアは元々戦前期からのリジッド方式
(緩衝装置なし)で登場、
直ぐに積貨用途に適する実用仕様のプランジャー緩衝を用いたモデルを併売、由。
そして'54年式からはスポーティなスイングアームと
ショックアブソーバ緩衝を採用。
なので'55年式の此方もスイングアーム仕様のモデル。

深く拡くホイールを覆うフェンダーは当時の時流
テールベースには英国車に無くては為らないルーカスのレンズ。
マフラーは内拡共鳴式(所謂、キャブトンタイプ)が
お約束!
デュアルシートがスポーツモデルならではの装備。


 フェルタンク

フレームカラーをベースにサイドをクロームメッキとする当時のBSAスタイル。
ゴム製ニーパッドとタンクバッチにメーカーロゴを入れる意匠も当時の時流。
タンクバッチはキャストメタル製の"Golden Flash"ロゴ入り専用仕様。
タンクの取り付けは中央部の縦貫通孔でフレームにボルト一本で固定する。
此れも倣ったメグロ車ではお馴染みな仕様。




 New Imperial・M30
  (1934年)

最後は1930年代、古き良き時代のクラシカルモデルからの一台。
メーカーのニューインペリアルは1887年に自転車製造業として創業して、
第二次大戦勃発頃まで英国に在ったオートバイメーカー。
1901年にフロントドライブのモーターサイクルを試作、
'10年に英JAP社のエンジンを用いたオートバイを販売して、
'12年にオートバイメーカー New Imperial Motors Ltd と成る。
直後の'13年以降、TTレースに出場を続けて多くの戦績を挙げるも、
'38年に創業者の死去を以て倒産。
同じ英国のBSA社に買収されるに至る伝説的メーカー由。

此方のモデルは外観とエンジン番号から視て250cc・M30の1934年式で在る様子。


M30(Model,30)ですが、1933年に登場して'36年まで販売されて居た様子。
特徴として、'32年よりニューインペリアルの独自設計に拠るユニット構造のエンジン機構"UNIT SUPER"の
採用が在ります。
未だエンジンと変速機は別に用意され、駆動伝達系(プライマリ)で組まれるのが主流で在った当時としては、
自社組み立てでのモノユニット化は画期的な技術で在った由。
その後ニューインペリアルのすべてのモデルにモノユニットが適用され、数々のスピードコースレコードを達成。
しか〜し、必ずしも性能が売り上げに結び付くとは限らないとも・・・

軽量化の為か250ccクラスにしても華奢なフレームは、鋼管組みのオーソドックスな形態。
ただ'30年代に在ってはやや古典的な印象も・・・

 UNIT SUPER : 空冷単気筒247cc OHV・4サイクルエンジン

一見、普通にOHV単気筒のやや前傾配置されたエンジン。
しか〜し、クランクケースは確かに変速機を内包したケーシングと為って在ります。
気に為るプライマリの機構はヘリカルギヤードに拠るとの由。
ただ外面からの様子では如何様な仕掛けなのか???
クラッチカバーを兼ねたプライマリケースの形態が興味深々!?

ボア×ストローク:67x70のロングストローク、247cc
最大出力:2.5HP
変速:手動3段

バルブカムはヘッドカバーで覆われる当時の最新時流
点火系は二種類用意が在り、バッテリー(イグニッションコイル)点火式と、
従来からのマグネトー点火式で、何れも英LUCAS社のユニットを使用。
で、此の個体はコイル点火式仕様で在る様子。
キャブレターはAMAL製、潤滑系はドライサンプ仕様の機械弁式送油。

 フロント廻り

如何にも時代を思わせる仕様のフロント。
ホイールは大径20in x 3.25、片ハブの申し訳程度に在る小径ドラム式ブレーキ。
比べて頑丈そうにタイヤを覆う鉄フェンダーに、其れを前後で支える鉄棒ステー。
其の後部ステーはアクスルボスを支点にホイールを立てるスタンドにも為るのがお約束!
緩衝装置はコイルバネとリンクがメカニカルなガーターフォーク(所謂"松葉フォーク")


 ハンドル廻り

ハンドルは自転車同様、ハンドルポストに軸固定。
フォークとはバネ緩衝を介してリンクで組まれる。
此れに器用な組み合わせでライトケースを支えるステー。

一方ハンドルには右手にフロントブレーキレバー、左手にクラッチレバー。
何れも外側にヒンジを置く方式で稀な仕様。


 ライトケース

お椀を横にしたような形態のライトケース。
レンズと云うよりも単にガラスカバー。
上面に在る計器は速度計・・・ではなく、アンメーターがメインに装備!?
なので速度計自体が有馬温泉〜爆
ケース後部のダイヤルはライトスイッチ。
ハンドルポスト直上のノブはフリクションダンパー。

 リア廻り

リア懸架方式は未だ緩衝装置の無いリジッド仕様。
ホイールサイズはフロントに同じ、片ハブに小径のドラム式ブレーキ装備も同様。
仕様自体がスポーツモデルとされてないのが華奢ながら装備されて在る荷台から視てとれる。
拡くタイヤを覆う鉄フェンダーも当時の汎用的仕様。
メインスタンドは自転車の其れと全く同じ。

ドライブチェーンはオープンで上辺にカバーが付く。
シート直下にバッテリーを置き、廻りに警音器とイグニッションコイル他、電装具を配置。
マフラーは内拡共鳴式の形態ながら後端がフィッシュテール状なのがご愛敬〜


 シート

メインシートはサドルタイプで未だ自転車の仕様から脱して居ない。
ただ、コイルばねに拠る緩衝が付き、直接フレームで支えない等の工夫での進化は視られ、
案外と乗り心地は良さげに思えるか!?


 フェルタンク

フェルタンクの意匠は幾つか種類が在る様子ながら、此の個体に付くタンクは純正まんまと視える。
写真に在るような小型の小判型ニーパッドを装備する仕様は'34年式までか?。
'35年式では大型のわらじ状形態のニーパッド装備に変化。
給油口キャップの形態がメグロ車(S3〜S−8、Z7、K・・・)と同様!?
手動変速用のシフトレバーはフェルタンクに直接取り付けられて在る。


それでは、次回をお楽しみに!



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